Recording in RWANDA ★ 落ち込むこともあるけれど、わたしは元気です!

2010年4月1日

ゴミの山の上で

UNDP(国連開発計画)という国連の機関から派遣されている水戸さん。
この方もルワンダの人々の暮らしを支える大事なお仕事をされています。
首都キガリ市から一日に排出されるゴミ120トン(トラック30~40台分)。
ゴミ焼却場のないルワンダでは、今のところまだ分別も進んでおらず
とにかく毎日運び込まれるこれらのゴミを
丘の上の処分場に積み上げています。
ここの運営・管理をサポートしてるのが水戸さん。
とにかくゴミと同じくらい問題も山積み。
去年まではこの崖からゴミを落としていたため、
生ゴミの発酵熱で紙ゴミに火がつき、斜面からは毎日のように炎と煙が出ていました。
基本的に、山火事にさえならなければこの発火現象はけっこうなことで、
つまりゴミが燃えて、ゴミの山がくずれて、
結果的にゴミの“かさ”がコンパクトになっていたわけです。
ところが、この斜面はキガリ国際空港から丸見えであるため、
「景観的によろしくない」
という政府からの命令で、発火を防止しなくてはならなくなりました。

そこで、この崖の上にゴミを薄く平たく積み上げることで発酵熱がこもりにくいようにし、
同時に「燃える」以外の方法でゴミの“かさ”を減らすために、
福岡大学の研究チームと協力して、
ゴミを微生物分解させる取り組みを始めました。

でもゴミの山を均(なら)すのに必要な重機レンタルの手続きが遅々として進まなかったり、
ミュンヘンと姉妹都市であるキガリ市が
ドイツからの勧めで別の方法の微生物分解システムを導入してしまったり
(ルワンダのゴミの量には適さないシステム、しかも高コスト)、
突然、農業省が重金属を含む農薬を大量に廃棄していったり、
植民地時代の建造物に含まれるアスベスト資材を半年で回収する!という政策のもと、
撤去されたアスベストがどんどん持ち込まれそうになったり・・・
(これは水戸さんが止めさせて、カナダから専門家を呼んで長期的な処理方法を模索中)
地下水汚染も心配の種。
ゴミから滲出する水分がこうして流れ出しています。
これが丘の下の貧困層のコミュニティに流れていっていました。
彼らはそのへんで汲んだ水をそのまま飲んでいます。
(そもそもゴミ処理場を丘の上に作ること自体が非常識!)

水戸さんは土を盛り上げてこの滲出水の流れを変え、
山の稜線にそってあみだくじのように時間をかけて降りていくようにし、
住民のコミュニティに達するよりずっと上で蒸発してしまうようにしました。
ルワンダの土は粘土質なので表層の水が地下水に浸透しにくいのが不幸中の幸い。

もちろん汚水処理施設があれば一番いいに決まってます。
でもスコップ一本さえ買うことのできない政府にそんな施設作れるわけがありません。
(ここの従業員が使っている3本のスコップは水戸さんが自腹で買ったもの)

また、今はゴミの70%が生ゴミだからまだいいのですが
消費文化の普及とともに、冷蔵庫や洗濯機といった処理しにくいものが
今後ゴミとして持ち込まれるようになり、
そうなるとまた別の問題も発生するだろうとのこと。

医療廃棄物もそのまんま・・・


システム自体にすでに問題山積のルワンダ行政において、
政府が十分に問題意識を持っていないであろう課題に取り組むなんて
ちょっと想像しただけで気が遠くなりそうです。

それでも、水戸さんは確実にそこにインパクトを与えつつあって、
なんて忍耐強く、冷静な方だろうと、ただただ驚くばかりでした。
主導権をあくまで当局側に置きつつサポートしていく
ということが
援助漬けのアフリカでいかに難しいかを目の当たりにした一日でもありました。

そしてもうひとつ。
「ルワンダでは、汚職や不正取引に対する取締りが他の国と比べて非常に厳しく、
それゆえに何を買うにも入札が必要。物品購入に時間と手間がものすごくかかってしまう」
という水戸さんのご指摘は
器具の検討、入札、購入だけでボランティア期間の3分の一がすぎてしまったことで
最近すっかり自信をなくしていたわたしをずいぶん元気づけてくれました。
プロがやっても半年かかるんだと知ってちょっと安心。
焦らず行こー!

2 件のコメント:

  1. ご無沙汰してます。学校がばたばたしてて更に蟄居もあいまってなかなか、通信面でも外界と遮断されていました。

    ゴミ処理場すごいですよね。私も1月にわすりさんに連れて行っていただきました。丘の上から見渡す下界の民家の存在がとても気になったことを思い出しました。
    その他、沢山ルワンダのことをUPしてくれてありがとう、まとめて読みました。虐殺週間がもうじき始まりますね。いつもETOの生徒の顔を見るたびにこの子達が虐殺をどんな目でみてたんだろう?って思います。(最近わかったっけど平均20歳位の年齢みたい)

    にわとりさんでビューですね~!そのうちひよこたくさんになりますね^^動物って本当に癒してくれますよね。
    うちのかがちゃんもさらに可愛く元気にしています。最近ね~膝に乗ってくるようになったの~!すごく可愛いんだ~!

    また来キブンゴしたときは会いに来てね、左手も治って元気に走り回ってるから。

    ではでは

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  2. >ひなぎ
    わたしの場合、身の回りにいるのはわりと帰還民ばかりなので、
    ふだんこういうことを実感することは少ないんですが、
    学校だとサバイバーの子どもとかたくさんいるでしょうね。
    こんなにシャイで平和主義な人たちがつらい思いをしたなんて
    できることなら考えたくないのですが・・・。
    ここの人たちと仲良くなればなるほど、
    「真実」を知ることが怖くなります。
    かがちゃんの足、よくなって一安心ですね。
    また遊びに行きます。

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