Recording in RWANDA ★ 落ち込むこともあるけれど、わたしは元気です!

2010年4月29日

「もらう」「あげる」

ついこの間、仕事からの帰り道
、側溝のフタの隙間にサンダルがはまって、
引き抜いた勢いで鼻緒が切れてしまったときのこと。


足の指で鼻緒をつかみつつ、すり足で歩こうとするのですが、
歩きにくくて歩きにくくて、もういっそ裸足で帰ろうかなと思ったそのとき、
お店の中から「ゆみー!」とママフィエッテが手招きしているのに気づきました。


ママフィエッテはなぜか嬉しそうに、
「これを履いて帰りなさい」と、黄色のきれいなサンダルを差し出してくれたのです。
日本人みたいに何足も靴を持っているわけじゃないし、
わたしがちゃんとサンダルを返す保証もないのに・・・
(実際、ルワンダ人はよっぽど催促されない限り借りたものを返さないことが多い。笑)
「ママフィエッテは何を履いて帰るの?」と聞くと、
わたしはこれがあるから大丈夫よ、と
店の隅にあったよれよれのサンダルを履くママフィエッテ。
「困っている人には無条件に手を差し伸べる」
「持てる人は持たざる人に無条件に分け与える」
ルワンダ人のそんな習慣は
ときに自分で努力することを妨げるし、
「してもらって当たり前」という認識をも生むと思うのですが、
やっぱり自分がその恩恵にあずかると、胸がジーンとします。


貸してもらったサンダルの歩きやすいこと歩きやすいこと。
スキップしたくなるくらい。


翌日、サンダルを返すときに、日本から送ってもらったお菓子を少しラッピングして持っていったら
「あらありがとう」とさらっと受け取るママフィエッテ。
日本だったら、
「まぁまぁそんな気を遣わなくていいのに!あらこんなたいそうなものいただいていいのかしら?」
と大げさにお礼を言うものですが、
とにかくルワンダ人は「もらう」「あげる」ときの心情がとてもドライ。

はじめは戸惑いましたが、この徹底した「お互いさま」精神を理解すると、
いろんなことがスムーズになります。
ありがとうも言わないで、なんて失礼な人たちだろう!と思っていたけど
「人を助けるのは当たり前のことだから別にお礼を言う必要はない」という認識は
「いつかこの人が困ったときは当然自分が助けるのだ」という認識に裏打ちされていて、
ちょっとぶっきらぼうだけど実はあったかい習慣なのです。

2010年4月20日

ジェトロファを植えよう

前にキガリ市のゴミ処理のことでご紹介した三戸さん。
その奥さんの優理さんがやっているプロジェクトに
連れていっていただきました。
在日ルワンダ大使館からの依頼で
ジェトロファという植物を育てるために
政府の土地をあちこち借りて試験しています。
今日行ったサイトは土壌の質が悪すぎて
なかなかジェトロファが生育しないので
首都の市場から出る生ゴミで堆肥を作って
それで土壌改良をしようとしているところ。
ジェトロファの種からは燃料になる油がとれるので
電気のない村落地域でそれを灯油ランプの燃料にしたり
現金収入の糧にしたりできるのでは?
というプランです。

ママさんたちは子どもを背負ったままで
何時間もクワを振ります。
たくましい・・・!

数が数えられるようなので
苗を10本ずつ束にする作業を手伝ってもらったら
どうしても8本ずつになっちゃう。
なぜ?と思って、彼が数えるのを見ていたら、
ちゃんと「1、2、3・・・」と声にだして一生懸命数えているんだけど
手の動きが声のカウントより遅れてて
「イチュミ(10)!」
って言ったときには、手はようやく8本目を握っている、ということがわかりました。
全部やりなおすはめになったけど
かわいいから許す!笑

2010年4月18日

マメ

母に似たのか、ルワンダに来てから豆ばっかり食べてる気がします。
そんなにめちゃくちゃおいしいというわけでもないのに
わざわざ買ってきて調理してしょっちゅう食べてるということは
わたしの体がとりわけこの良質な植物性たんぱく質を必要としている、
ということなのかもしれません。
色も模様もさまざま。
洗いながら眺めているだけでなんか嬉しくなります。
ルワンダの人はこれを3時間くらいかけてゆっくり茹でるのですが
わたしは一晩水につけておいて、そのあと圧力鍋で15分くらい加圧するだけ。

ここから先はルワンダ人とやり方と同じ。 多めの油をしいた鍋に
細かく切ったにんじん、ナス、玉ねぎ、ピーマン、トマトを入れて炒めて
トマトペーストと塩を加えます。
そこに茹でたマメを茹で汁ごとザザーッと入れて
あとは好きなだけコトコト煮てできあがり。

ご飯にも、パンにも、
茹でサツマイモにも、茹でバナナにも合います。
多めに作って3日くらいかけて食べます。
冷蔵庫持ってないけど、朝晩火を通せば大丈夫です。

ちなみに写真は昨日の朝ごはん。

土曜日はVOAでジャスなどのイケてる音楽が流れるので
午前中は部屋の拭き掃除をしながらラジオ族になります。

2010年4月16日

最近、職場にお弁当を持って行っています。
といっても、am7:00始業となかなか忙しい朝なので
ゆうべのご飯の残りを温めて詰めるだけなんですが・・・。
一見、「残飯か?」みたいな様相ですが
まぁ実際のところ残飯なのでいたしかたありません。
おいしかったらヨシ!(強気)

真昼の太陽が照りつける中
とりあえず何か話しかけたい道端の無職オッサンたちが
「おいッ!!ムズング(白人)!金くれ!」
って連呼するのを聞きながら
お昼ごはん食べに出かけるよりマシかなーと。

お昼ごはんを食べてたら
雑用係のガテシが上司からの指示メモを持ってやってきました。
解読できますか?笑
すごく頭の切れる上司なのですが、
ペンの握り方がなんというか超斬新なんです。
むむぅ・・・

2010年4月14日

僕にもおやつくれよぅ

講習会(ひとつ前の日記)の休憩時間、
会場の窓にぶらさがって
おやつタイムをうらやましそうに見ているエマニュエル。

ほっぺたをつまむとムニムニしてて
連れて帰りたくなるほどかわいい。
「むじゅんぐ~(ムズング:白人)
僕もイチャイ(ミルクティ)が飲みたいよぅ~」
とか言ってるうちに講習会が始まって
ワァワァ泣きながら引きずるように連れて行かれてました。

2010年4月12日

トレーニング

人工授精の講習会。
まずは理論編。
同僚が講師で、わたしはそのサポート役だったのですが
配布テキストもなし、図で説明するでもなし、口で説明するだけです。
同僚が唯一黒板に書いたのは、
「0.25ml、0.5ml」
(ちなみにこれはストロー1本に入っている精液の量)。
あと、「さっき言ってた器具の名前のスペルがわかりません」
との質問に応えて
器具の名前を2つ3つ書き並べただけ。
これでほんとにみんな理解してるのかな・・・?
心配になってしまいました。


同僚に悪いなと思いつつ、講義の内容があまりにアレなので、
翌朝、いつものようになかなかやってこない同僚を待つ間、
とっくに席について暇そうにしている参加者たちに補講をしました。
授精するタイミングを知るにはどうしたらいいか、ということと、
どうやったら注入器がうまく子宮頚管に入っていくか、ということを
模造紙に描いた時間軸グラフと生殖器の模式図を使って説明しました。

「あー!そういうことか!」っていう表情を見るのはとても嬉しかったです。

そのあとの休憩時間にもわたしの描いたイマイチな図を一生懸命ノートに写したり、
図を指しながら「この部分はどうなってるんだ?」と質問してきたり。
もしもプロジェクターで映し出していたら、こうはいかないと思います。
またカーテンを閉めて、あの画像をもう一度映してくれ、って頼むなんて面倒だから。

発展の過程にあるせいかもしれませんが、
「ものごとは“最新”で“かっこよく”なければならない」
っていう意識があるような気がします。
「講義では、パワーポイント資料をプロジェクターで映さなくてはならない」
って思い込んでる感じです。
模造紙にマジックで描いた絵でもじゅうぶんなのに。

ちょうど今から一年前、JICAの派遣前訓練で、
英語でのプレゼンテーションを何パターンも練習させられました。
同じ教室で学ぶ仲間たちを現地の人たちに見立てて。
聞いている人たち(みんな宿題で寝不足気味)を居眠りさせないように
あの手この手で注意をひきながら、
50分とか100分とか話し続けるのは
とても大変でした。
電気も器具もないところでも講義ができるように
手作りのvisual aid(視覚教材:図表や模型など)を使って、
聞き手にも前に出てきてもらってデモンストレーションをしたり、
聞き手に頻繁に質問したり、
そんな練習を2ヶ月間、毎日していました。

本当に意味のある訓練だったなーと今になって思います。

手作りのvisual aid(視覚教材)を残すこと。
またひとつやりたいことができました。

ながーい講義のあと、 実際の牛でやってみる前に
屠畜場から持ってきた牛の子宮を使って練習します。
ほほーなるほどなるほど

おやつタイム。
ミルクティーにドーナツにチャパティ。
アフリカはどこもそうだと思うけど
参加者は参加費を払う必要はなく、
それどころか手当て(一定額の日当)をもらえます。
おやつもでます。
りっぱな食事もでます。
最終試験はなぜかみんな合格できます。

お前ぜったい食事が目的で来ただろ!って感じの参加者もいたり。笑

2010年4月8日

夏も近づく八十八夜♪


季節のない国に立春も八十八夜もないけれど
日本より一ヶ月くらい早いのかな。
ただいまお茶摘みのハイシーズン。

背中にカゴを背負うのは昔の日本のスタイルと一緒なんだなー。
「あかねだすき」と「すげのかさ」はないけど。

地平線ならぬ「お茶平線」。
とにかく360度見渡す限りお茶畑。


アフリカにいることを忘れそう。
ここは鹿児島?

2010年4月1日

ゴミの山の上で

UNDP(国連開発計画)という国連の機関から派遣されている水戸さん。
この方もルワンダの人々の暮らしを支える大事なお仕事をされています。
首都キガリ市から一日に排出されるゴミ120トン(トラック30~40台分)。
ゴミ焼却場のないルワンダでは、今のところまだ分別も進んでおらず
とにかく毎日運び込まれるこれらのゴミを
丘の上の処分場に積み上げています。
ここの運営・管理をサポートしてるのが水戸さん。
とにかくゴミと同じくらい問題も山積み。
去年まではこの崖からゴミを落としていたため、
生ゴミの発酵熱で紙ゴミに火がつき、斜面からは毎日のように炎と煙が出ていました。
基本的に、山火事にさえならなければこの発火現象はけっこうなことで、
つまりゴミが燃えて、ゴミの山がくずれて、
結果的にゴミの“かさ”がコンパクトになっていたわけです。
ところが、この斜面はキガリ国際空港から丸見えであるため、
「景観的によろしくない」
という政府からの命令で、発火を防止しなくてはならなくなりました。

そこで、この崖の上にゴミを薄く平たく積み上げることで発酵熱がこもりにくいようにし、
同時に「燃える」以外の方法でゴミの“かさ”を減らすために、
福岡大学の研究チームと協力して、
ゴミを微生物分解させる取り組みを始めました。

でもゴミの山を均(なら)すのに必要な重機レンタルの手続きが遅々として進まなかったり、
ミュンヘンと姉妹都市であるキガリ市が
ドイツからの勧めで別の方法の微生物分解システムを導入してしまったり
(ルワンダのゴミの量には適さないシステム、しかも高コスト)、
突然、農業省が重金属を含む農薬を大量に廃棄していったり、
植民地時代の建造物に含まれるアスベスト資材を半年で回収する!という政策のもと、
撤去されたアスベストがどんどん持ち込まれそうになったり・・・
(これは水戸さんが止めさせて、カナダから専門家を呼んで長期的な処理方法を模索中)
地下水汚染も心配の種。
ゴミから滲出する水分がこうして流れ出しています。
これが丘の下の貧困層のコミュニティに流れていっていました。
彼らはそのへんで汲んだ水をそのまま飲んでいます。
(そもそもゴミ処理場を丘の上に作ること自体が非常識!)

水戸さんは土を盛り上げてこの滲出水の流れを変え、
山の稜線にそってあみだくじのように時間をかけて降りていくようにし、
住民のコミュニティに達するよりずっと上で蒸発してしまうようにしました。
ルワンダの土は粘土質なので表層の水が地下水に浸透しにくいのが不幸中の幸い。

もちろん汚水処理施設があれば一番いいに決まってます。
でもスコップ一本さえ買うことのできない政府にそんな施設作れるわけがありません。
(ここの従業員が使っている3本のスコップは水戸さんが自腹で買ったもの)

また、今はゴミの70%が生ゴミだからまだいいのですが
消費文化の普及とともに、冷蔵庫や洗濯機といった処理しにくいものが
今後ゴミとして持ち込まれるようになり、
そうなるとまた別の問題も発生するだろうとのこと。

医療廃棄物もそのまんま・・・


システム自体にすでに問題山積のルワンダ行政において、
政府が十分に問題意識を持っていないであろう課題に取り組むなんて
ちょっと想像しただけで気が遠くなりそうです。

それでも、水戸さんは確実にそこにインパクトを与えつつあって、
なんて忍耐強く、冷静な方だろうと、ただただ驚くばかりでした。
主導権をあくまで当局側に置きつつサポートしていく
ということが
援助漬けのアフリカでいかに難しいかを目の当たりにした一日でもありました。

そしてもうひとつ。
「ルワンダでは、汚職や不正取引に対する取締りが他の国と比べて非常に厳しく、
それゆえに何を買うにも入札が必要。物品購入に時間と手間がものすごくかかってしまう」
という水戸さんのご指摘は
器具の検討、入札、購入だけでボランティア期間の3分の一がすぎてしまったことで
最近すっかり自信をなくしていたわたしをずいぶん元気づけてくれました。
プロがやっても半年かかるんだと知ってちょっと安心。
焦らず行こー!