Recording in RWANDA ★ 落ち込むこともあるけれど、わたしは元気です!

2009年9月9日

吠える

南西の村に出張した帰り路肩に止まっている一台のトラックに遭遇。
牛を屠畜場に運ぶところのようです。
「なんかおかしいぞ」
一緒にいたルワンダ人獣医が車を止めました。
トラックが故障したらしいのですがどう見ても明らかに重量オーバー。
それにこの牛の積みかた・・・ひどすぎる。
何頭かは他の牛の下敷きになっていたり、下顎だけでロープにぶらさがっていたり。
ロープに全体重がかかってひどい浮腫を起こしている牛、けいれんを起こしている牛もいます。


この国の牛と人との関係はとてもよくて
牛飼いさんは愛情と敬意をもって牛に接していて
いつもわたしはそんな光景に励まされているのに・・・
なんだこれは!

わたしと一緒にいたルワンダ人獣医がトラックの運転手を呼び出して
身分証明や牛の搬送証明書を確認しているあいだに
トラックに同乗していた男たちに指示して牛を降ろさせました。
何頭かは立つこともできません。
数えてみると、積載上限頭数より7頭も多いようです。
3トン近くオーバーしていることになります。
そりゃあこんなおんぼろトラック故障するはずです。

はじめは遠巻きに見ていた男たちも
わたしがそこにあったロープで牛をつかまえて移動させ始めたら
「おぉ、このムズング(白い人)ルワンダの女より強いぞ」とザワザワし始めました。
「なんであんた牛の扱い方知ってるのか?」
「頼むよ、警察に通報するのは勘弁してくれよ」
「どうせこいつらはニャブゴゴに着いたら殺されるんだ」

ニヤニヤしながらそう言う男たちに腹が立ってきました。

「載せていいのは25頭までだよ!
 32頭も詰め込むから、牛がこんなひどい状態になるんだよ!
 あなたたちはこんなことしたらいけない!
 牛に敬意をはらわない人はぜったいお金儲けなんてできない!」
英語とキニャルワンダ語が混ぜこぜになって
言っているうちに頭に血がのぼってくやしくって涙が出そうになりました。


けっきょく警察が来て、彼らは牛を二台のトラックに分けて運ぶことになりました。
違法な積載許可を出した現地の獣医もたぶん罰せられることになると思います。

彼らの生活が苦しいのはわかるけど
結局こういうことを繰り返していたら
必ずしっぺ返しを喰らうのは彼らだと思うのです。


悲しい気分で帰路につきました。

6 件のコメント:

  1. タイムリーな更新!
    今だったでしょ?


    かなしい一日でしたね。
    お疲れ様でした。
    そんなこと言ってしまう人たちに扱われたのは
    不幸だったけど,
    せめて,きみたちと出会えて,よかったと思うよ。
    うしくんたちもよろこんでるよ,きっと。

    おいらも今日は自分の手に負えないこととぶつかって
    ただ応援するしかなくて,沈み中・・・

    できないことは多いけど,できることを
    元気にがんばっていくしかないにー

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  2. いけませんね
    このトラックにかなりの積載量
    牛もかなり辛い状態になっていたよねぇ
    トラックがひっくり返ってしまうっての「も考えられないのかね・・・
    後ろのタイヤよりも荷台が結構のびているのに・・・
    しかも3トンだなんて
    何を考えているんだ!!!!
    kiriが怒るのもわかるよ(お互いの職業柄もあり)
    ゆるせないね
    殺されるからといって自分らの糧になっている牛にたいして失礼です
    ありがとうの気持ちと皆の為にありがとうって気持ちですよね

    せっかく気持ちの良い日々だったのに・・・
    見たくない事
    知りたくなかった事
    でも気持ちを切り替えて
    許せない気持ちや、悲しい気持ちで
    これから牛に接してもKIRIのそういう気持ちが伝わってきちゃうからね
    笑顔で晴々した気持ちで接してあげてね

    でもいざこざにならなくてよかったと思います
    気をつけて元気にがんばってね

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  3. ひどいねぇ…牛さんたち辛かったろうに…
    でも途中で救われてよかった。
    GoodJob!!

    普段は現地の獣医さんと仕事をしているの?
    そちらではびっくりするようなことが常識だったりするんだろうね。
    おもしろいエピソード待ってます。

    っと!やっとコメントできた♪♪
    いつも見てるからね。
    キニャルワンダ語がんばってるね。
    えらいえらい!
    行ったときはぜひ教えてください。

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  4. かなしいできごとでしたね(´;ω;`)
    みなさんがおっしゃるように、
    桐野先生たちに出会うことができて、救ってもらえて、
    牛さんたち幸せな気持ちでお肉になれたと思います。

    人一倍正義感の強い桐野先生だから、
    牛さんを大切にする気持の強い桐野先生だから、
    とっても残念で耐え難いできごと。

    でも、相手がカッとなって、暴力的になることもありえるので、
    そこだけは充分お気を付けてくださいね(>_<)
    いい人もいれば、そうじゃない人も、悲しいけどいると思います。

    牛さんたちも、桐野先生たちも無事で本当によかったです。

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  5. >hiromi
    そうだにー。
    特にhiroちゃんの仕事はそういうこと多そうだね。
    今は誰にもわからないけれど、
    今起きていることには何か意味があるんだ、
    と信じて。

    >zizi
    そう、ルールにはちゃんと理由があるんだよね。
    交通安全の面から見てもすごく危険だし
    家畜取り扱い作業の安全性や、家畜福祉っていうことを考えても問題あり。
    目先の利益にとらわれざるを得ない現実もあるのだけど。
    急がばまわれ、をキニャルワンダ語で説明できるようになりたいわ。

    >tomobo
    おお、やっとできたね。
    なーんかうまくアップできないんだよね、このコメント。
    おもしろエピソード、待っててくれ。
    でも妙になじみすぎちゃって
    いろんなことが「普通」だと思えてきた今日この頃。

    >たけちゃん
    ありがとう。
    ボスがいつも言ってた、「乱暴に扱われた牛は悔し涙の味がする」っていうのを思い出します。
    死ぬ瞬間まで、ひとつの尊い命として扱ってほしい。
    経営苦しい→心の余裕なくなる→牛の扱いが雑になる→ますます経営が苦しくなる、の悪循環だけはもう見たくないのです。

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  6. kiriちゃん、今の日本も経済状態が悪く、このままでは6割の農場が姿を消すでしょう。
    技術論だけでは救えない、そんな、どうしたらいいのか解らない
    もどかしさを抱えながら毎日の指導に明け暮れています。

    様々な見捨てられない状況にこれから遭遇するかも知れないけど、
    自分の身だけは護るんだよ。

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