Recording in RWANDA ★ 落ち込むこともあるけれど、わたしは元気です!

2010年3月21日

少年兵


元隊員の加藤悦子さん率いるスタディツアー。
日本からの5名の参加者に混ぜてもらい、
’94年のジェノサイド以来、今も続く平和構築の歩みを見て回りました。
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とりあえず、ひとつずつ記録していこうと思います。
今日は帰還少年兵のための社会復帰支援施設。

ジェノサイド直後に、仕返しを恐れてコンゴに大量に流れ込んだ
フツ族を中心とするルワンダ人難民。
その中にいた少年たちが、
自分の意思、あるいは周りの大人たちの勧め、
あるいは拉致のような形で
抵抗軍の少年兵となり、
森の中でゲリラ生活を送っていました。


ここでちょっと横道にそれてコンゴに無数に存在する抵抗軍、民兵組織の話。
その資金源となっているレアメタルの非合法取引。
【レアメタルの恩恵にあずかっているのは誰?】
ジャングルの中に作られた秘密の飛行場。
そこへ買い付けにやって来るのは
「白い人」と「黄色い人」。
レアメタルの行き着く先は、わたしたちが大好きな薄くて軽いケータイ・・・

知らないふりしても
ここの人はみんな知ってる。
こんなところでも世界はつながってしまっている。


さて、少年兵の話に戻ります。
ルワンダ政府の武装解除・社会復帰委員会が運営するこの施設。
豊かな水をたたえるムハジ湖のほとりの爽やかな林の中にそれはあります。
ラジオ放送でルワンダ政府からの呼びかけを聞き、
森を抜け出して、MONUC(モニュク:国際連合コンゴ民主共和国ミッション)の協力で
祖国へたどり着いた少年たち。

ここで数ヶ月間、社会の一員として暮らすための練習をし、
職業訓練や識字教育を受けます。
人を殺すのは悪いことだということ、
働くのはすばらしいことだということ、
トイレはトイレでするということ・・・

それから委員会は、彼らを受け入れる家族や親戚、里親を探し、
はじめの2年間は少年の学費を援助します。
さらにその後も少年が学校へ通い続けることができるよう、
受け入れ家庭が現金収入を得るための手助けもします。
具体的には、商店を始めるための資金を援助したり、
家畜を飼い始めるための資金を援助したり。
これまでにここを卒業した少年の数は約750名。
コンゴに残る少年兵の数は未知数とのこと。
将来の夢はアーティストになること。
枕元にはたくさんの力作。
施設では、三度のあたたかい食事や、医療も提供されます。
そしてひとりひとつずつ、蚊帳つきの清潔なベッドも与えられます。
(これがどれだけすごいことかというと、
ルワンダの一般的な中学・高校の寮では
学生二人がひとつのベッドでくっついて寝るのが普通。)
「僕も撮ってよ!」と蚊帳の中から声が。
「だったら出ておいで」と言うと、
恥ずかしそうにに出てきました。
今いる32人の中ではこの子が最年少で13歳。

少年たちの生活は自治を基本としていて
年長(17、18歳)の数名が
自治会長や寮長などの役員をして
ルール違反や喧嘩がないように気配りしています。

少年兵、と聞くと、
シエラレオネの子ども兵のことがまず頭に浮かぶため、
目つきの鋭い、薬物中毒に陥った傷だらけの姿を想像していましたが
ここの少年たちは拍子抜けするくらい「ふつうの少年」たち。
HIV感染や薬物中毒も今のところないとのこと。
とはいえ、彼らが心に負った傷や、体験したおそろしい出来事、
そして森の中で暮らしている間に失ったもの、得られなかったものが
彼らの未来に与える影響は無視できないでしょう。
それでも、貧しい財政の中で彼らを援助しようとする政府、
「もっと勉強がしたい」という彼らのまっすぐな目、
それを信じたいと思わずにいられません。

2 件のコメント:

  1. 改めて教育の大切さを感じました。
    戦争、軍隊、紛争って、どこか遠いとこの話に思ってました。どうしても、僕も僕の両親も経験してないわけで、小さい頃じいちゃんに聞いた話くらい・・・
    でも、レアメタルやブラッド・ダイヤモンドなど僕たちの生活に繋がってるんですね。
    その先に何があるのかをちゃんと知り、自分たちでできることを考えないといけないですね。
    勉強になりました、ありがとうございました。

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  2. >かとぅーん
    こんなヘビーな記事にコメントくれてありがとう。
    あと3、4回こういうのが続くよ・・・。
    せっかく行ったからとりあえず全部記録しておきたいという
    貧乏スピリッツなわけです。笑

    日本では、「殺す」とか「軍隊」とかそういうキーワードが
    意識的に排除されているから
    戦争が歴史上のできごと、もっと言えば物語の中のできごとみたいに
    思えてしまうのだけど
    それってもう笑っちゃうくらい幸せなことなんだよね。
    実際、少年に会って、「ぼくも兵士だったんだ」っていう言葉を聞いて
    急激にそういうのがリアルに迫ってきてゾクッとしました。

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