Recording in RWANDA ★ 落ち込むこともあるけれど、わたしは元気です!

2010年11月5日

やってみるしかない(後編)

(つづき)
ある日、ものすごく久しぶりにダイレクタージェネラルの車を発見!

つ、ついに姿を現した!!


走り寄って、ウィーンと閉まりつつある窓をガシッと押さえ、

私 「一日も早く、試験に入りたいんです!スタッフの練習に使う牛を用意してください!」

ダ 「ISAR(国営試験場)でやればいいじゃないか」

私 「以前あそこで準備してたら、ISARが余計な条件をつけてきたからこの技術協定はなかったことにしろ、と突然おっしゃったじゃないですか。」

ダ 「じゃあ受精卵移植やりたがってるそのへんの農家でやればいいじゃないか」

私 「まだ一回もやったことのないスタッフがいきなり成功するわけがないです!今は一般向けのサービスを始めるには早すぎます。」

ダ 「君が移殖すればいいじゃないか」

私 「それじゃ意味がないんです。だから数年前にイスラエルの技術者を呼んでやったときは・・・ナンチャラカンチャラ・・・」


ダ 「じゃあうち(RARDA)のニャガタレ牧場でやればいいじゃないか」


私 「その牧場で準備を進めていたら、急に、ここの牛は大統領の所有物だから試験に使うなんてだめだって言われて、それであなたからの決定を待っているんです」


ダ 「あーわかったわかった!牛を用意する!君のプロジェクト用の牛だ!」

そ・し・て・・・



ついに念願の牛を10頭購入する入札の手続きが始まりました。
これまでの経験から、この手続きには半年くらいかかると思いますが・・・
願わくば、わたしがルワンダにいるうちに牛がわたしたちのもとに届きますように。

ついでに、上司から紹介されたルワンダ軍の幹部、ミスタームヒルガに会いに行き、
受精卵移植について説明し、
今はまだ成功率は未知数だけど、この技術がこの国に根付くように努力するので、
その人が所有する牧場の牛をスタッフの練習用に貸してもらえないだろうか、
と交渉したところ、
最後には快諾してくれました。

先月からこの農場に通いながら、
妊娠してない牛を片っ端から検査し、
選抜した牛のコンディションを整えてきました。


そして先々週は、6日間、12時間おきに注射を打ちに通いました。
受精卵を取り出す側の牛に、たくさん排卵させる注射です。

特に病気の治療というわけではないので
日本だと、農場の従業員に頼んで打ってもらったりするのが普通なのですが、
決まった時間に予定通りに仕事をこなすことが大の苦手のルワンダ人に
この12時間おきの注射を依頼するのはやや勇気がいることで、
同僚たちも「絶対じぶんたちでやったほうがいい」と言うので、
じゃあちゃんと朝6時と夕方6時、時間通りに来てね、と約束。
まぁ2回ほどすっぽかされましたが(笑)、
それでも予想以上にがんばってくれた同僚たち。

他のミッションも任されている忙しい彼らのスケジュールをどうにか合わせ、
3回の講義も実施しました。
屠場(食肉解体場)から買ってきた子宮を使って、
丸一日、移殖器具を子宮に通す練習。

経験のないまま学歴だけでここまで来た人たちなので
びっくりするくらい下手なんですが、
なぜかとても前向きです。

カテーテルから内芯が抜けて飛び出していることに気づかず子宮を刺していたときも
「この練習でこの失敗をしておいてよかったよ!」と超ポジティブ、

帰り際、立ちっぱなしでヘトヘトになったわたしに
「ゆみ、がんばりましょう!わたしたちは絶対成功する気がするわ!」と
これまたポジティブ。

なんでこんなに前向きなのか、
その自信はどこからくるのか、もうさっぱりわかりませんが、
とにかくやってみるしかありません。


いよいよ週明けの月曜日、
ホルモン処置した2頭の牛のお腹から実際に受精卵を取り出し、
他の5頭の牛のお腹に移殖します。

移殖する受精卵がちゃんと受胎してくれるかとても不安ですが、
それ以前に、
ちゃんと時間通りスタッフが来てくれるか、
牧場のカウボーイたちに頼んで作ってもらってる牛を固定する枠が当日までにできあがるか、
当日停電して顕微鏡が使えないという事態に陥らないか(可能性はとても高い)、
心配の種はつきません・・・。

5 件のコメント:

  1. なんだか前向きに動いてるね!忍耐強くがんばってきたからだろうね。
    超ポジティブなスタッフもいてくれていいじゃない^^失敗はあっても前向きな姿勢で学んでいってくれるといいね。
    ほんとに一歩一歩すこしずつだね。
    それにしても子供たちに囲まれると透明みたいに色白ですな。

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  2. いよいよ週明け間近。
    移植がうまくいきますように。

    素朴な質問ですが,
    2頭の牛さんのお腹に5個の受精卵があるのですか?

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  3. と、とうとう週明け!!

    うまくいってますように・・・

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  4. >tomobo-
    こんなお金のかかる技術をここでやる意味があるんだろうか、とか
    そもそも職員の技術が日本の学生以下なのに
    こんな高度な技術にいきなり挑戦するのはどうだろうか、とか
    なんかもういろいろ悩みまくった末、
    やると決めた以上は、JICAボランティアらしい提案を残せるように
    丁寧に進めよう、と亀のようにノロノロとここまで来たよ。
    超ポジティブな同僚、来月遊びにきたら紹介するよ。

    >324k
    もう週明けはとっくに過ぎているのに
    なかなか更新するひまがなくて・・・
    いま新しい日記をアップしたので見てね。

    >y243
    うまくいったのかなー・・・なんか微妙です。
    でも大失敗ではなかったので、ヨシとします。
    手伝ってくれた、もと北海道NOSAIの隊員の
    「最初はこんなもんですよ」という言葉を信じるわ。

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  5. >324k
    書き忘れてた。
    えーっと、一頭の牛から何個か卵がとれるんだけど、
    これが何個とれるかはやってみなきゃわかんないんだ。
    なので、一応、卵を受け取る側の牛を5頭用意したわけ。
    妊娠させたい牛がちょうど5頭いたので。

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